むし歯の原因を作らない
むし歯予防というと歯磨きが思い浮かびますが、まずはむし歯の原因を作らないことが大切です。
講師:宮新 美智世(東京医科歯科大学大学院 小児歯科学分野 准教授) 子どもをむし歯から守りたい! でも、毎日の歯磨きは大変です。 正しいむし歯の予防方法を知り、親子で楽しく歯磨きしましょう。
なぜむし歯はできるの?
もともと、口の中は様々な細菌が常にいる状態です。そこに、食べ物や飲み物の糖分が付着してくると、この糖分を栄養にしてむし歯菌が巣を作ります。
これが歯こう(プラーク)です。
歯こうの中のむし歯菌は、糖を分解して酸をだします。
この酸が歯を溶かしてむし歯になるのです。
歯磨きよりも有効なむし歯予防は?
むし歯予防といえば、一番は歯磨きだと考えますよね。
しかし、実は歯磨きより食べ物や食べ方が、歯がむし歯になることに大きく関係しています。
歯ブラシで完璧に歯こう(プラーク)を取り除くことは、なかなか難しいことです。
歯こう(プラーク)を完璧に取り除こうとするのではなく、歯こう(プラーク)をつけないようにする工夫をしてみましょう。そのポイントが食べ物や食べ方にあります。
<食べ物や食べ方のポイント>
(1)甘いものを避ける
(2)味の濃いものを避ける
(3)「だ液」の働きを生かせる食べ方をする
上記3つのポイントの中で何より大切なのは、(3)の「だ液」の働きについてです。
「だ液」には、歯にとって大切な2つの働きがあります。
(1)口の中の糖分などを洗い流す。
食べたり飲んだりすると、口の中は酸性になり、この状態が続くと歯が溶けてしまいます。「
だ液」が糖分などを洗い流すことで酸が減り、歯が溶け出すのを防いでくれます。
(2)歯を再石灰化する。
「だ液」は溶け出したカルシウムなどのミネラルを修復し、歯を再石灰化することで、溶けてしまった部分を修復してくれる力があります。
<「だ液」の働きを生かすためのポイント>
「だ液」が効果を発揮するためには時間が必要です。
「だ液」が歯を修復している最中に、食べたり飲んだりしてしまうと、口の中がまた酸性に戻ってしまい、むし歯になるリスクが増えてしまいます。ちょくちょく間食したり、甘い飲み物を常に飲んでいると、「だ液」のせっかくの働きが無駄になってしまうのです。
「だ液」をしっかり働かせるために、下記の2つのポイントに気をつけましょう。
(1)食べるとき、食べないときのメリハリをつける。
同じ食べるならまとめて食べましょう。むし歯を予防する、一番簡単な方法としておすすめです。
(2)就寝中はだ液が働かないので、寝る前に食べるのはひかえる。
・1日の理想的な食事の摂り方
上のグラフは、食べるときと食べないときのメリハリがついた、理想的な食事の摂り方です。
下のグラフは、ちょくちょく間食をしていて、歯に良くない食事の摂り方です。
〔グラフの見方〕
グラフの赤い線が中央の点線より下の場合、口の中が酸性になっていることを表しています。また、中央の点線より上の、ピンク色になっている部分は、だ液によって中和されていることを表しています。
こどもの歯を守るために、歯磨きばかり気にしていませんでしたか?
まずは子どもの食生活を見直して、口の中をむし歯にならない環境にしておきましょう。
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