秋が深まってくるといよいよ冬の足音が聞こえてきますね。冬といえばお腹にくる感染症が流行する季節…。
ノロウィルスやロタウィルスなどの胃腸炎は、おう吐、下痢、腹痛などの症状を起こし、乳幼児では重症化することもある病気です。非常に感染力が強いので、看病しているママパパも一緒にダウンしてしまうケースが多く、ホームケアに不安を覚える方も多いはず。
流行しはじめてしまうその前にいま一度対処方法を確認し、いざという時の心構えをしておきましょう。今回はこれまで「すくすく子育て」の中でご紹介した専門家のご意見をまとめてご紹介します。
ロタウィルスとノロウィルスの違い
乳幼児がかかる胃腸炎といえば、「感染性胃腸炎」。その中でも代表的なのが「ロタウイルス感染症」と「ノロウイルス感染症」です。症状や特徴にどんな違いがあるのかまとめました。
ロタウイルス感染症
感染性胃腸炎の中でも、感染力が強いのが「ロタウイルス感染症」です。
発症しやすいのは、生後6か月~2歳の乳幼児。5歳までにほぼすべての子どもがかかると言われています。
▼症状
はげしいおう吐や下痢、発熱。
ロタウイルス感染症の下痢の特徴は、米のとぎ汁のような白い水っぽい便です。
色の目安は、母子健康手帳の便色カードにある、以下の色を参考にしてください。
※本来は「胆道閉鎖症」を早期発見するためのものです。
ノロウイルス感染症
ノロウイルスに汚染された生ガキなどの2枚貝が原因の食中毒です。
▼症状
おう吐、下痢、発熱。
「ロタウイルス感染症」とは違い、便の色は白くなりません。
※ノロウィルスに関する詳しい情報や予防方法、感染した場合の処理方法などはこちらをご覧ください。
「厚生労働省:ノロウィルスに関するQ&A」
受診の目安
以下の場合は、受診してください。 ・おう吐や吐き気が続く場合 ・飲めない、食べられない状況が続く場合 「けいれん」を起こした場合は、緊急を要します。救急車を要請してください。
二次感染を防ぐためにできることは?
「ロタウイルス感染症」「ノロウイルス感染症」ともに、患者の便や、吐しゃ物の中のウイルスが体内に入って感染します。
乾燥して空気中に飛んだウイルスが口に入ったり、手についたウイルスが知らないうちに口に入ったりして感染を引き起こすので、細心の注意を払うことが大切です。看病しているママパパや兄弟への二次感染を防ぐためにも、手洗いや汚物処理について正しい知識を身につけておきましょう。
感染症予防のためのポイント
手洗いの際は水でよく洗い流す
感染性胃腸炎のウイルスなどは、石けんでは死滅しません。 石けんでウイルスを浮き上がらせて、十分に洗い流すことが必要です。手洗いにはトータルで、30秒~1分かけましょう。 ▼手の洗い方 まず、石けんの泡を手でよくたてます。 指の間、爪の間も下の写真のようにして、しっかりと泡をすりこむように洗ってください。水で石けんを洗い流すときも、30秒から1分かけて流水の中でさきほどと同じようにして、指の間、爪の間も十分に洗い流してください。 また、手くびまでよく洗いましょう。 (専門家: 草川 功さん)
タオルを共用しない
手洗いをまめにするのは、感染予防で効果がありますが、洗ったあとも大切です。 服や髪でふくようなことはしないで、きれいなタオルや紙でふくことが重要です。 感染を防ぐためにも、タオルを共用しないようにしましょう。 (専門家:堀 成美さん)
感染性胃腸炎にかかってしまったら
万が一感染性胃腸炎にかかってしまった時にも慌てないよう、汚物の処理方法と、食事についてご紹介します。
汚物の処理の仕方
部屋の中でおう吐してしまったら、どう処理をしたらよいのでしょうか。家族間の感染を防ぐためにも、専門家が教える方法を確認しておきましょう。
塩素系漂白剤と熱湯で殺菌を!
ノロウイルス・ロタウイルスの殺菌には台所や洗濯に使う塩素系漂白剤が有効といわれています。 また、85℃のお湯に1分以上つけるのも有効です。 汚物がついてしまった衣服をそのまま洗濯機に入れてしまうと、他の衣類にもウイルスがうつってしまいます。 洗濯をするときは、汚物がついたものは一度、漂白剤につけて除菌をしたり、熱湯処理などをしたりしてから洗うようにしてください。 じゅうたんや布団など、そのような処理ができないものにはスチームアイロンをあてるなどすれば、ある程度の効果は期待できるでしょう。 (専門家: 草川 功さん)
台所用や洗濯用の塩素系漂白剤で作る消毒液の濃度と用途
【汚物に直接使用する場合】
1.5リットルの水に対して、25ミリリットル。
(ペットボトルのキャップ5杯分が目安。)
※人のからだには使用できません。
汚物処理の手順
【準備するもの】
・捨てても良いエプロン
・マスク
・手袋
※汚物に直接触れないように注意してください。
【処理の仕方】
(1) 汚物の中のウイルスが飛び散らないように、まずペーパータオルなどで静かに覆う。
(2) 覆ったペーパータオルの上から塩素系漂白剤を薄めたものをたっぷりとスプレーする。
「ロタウイルス」「ノロウイルス」の処理には塩素系漂白剤が有効です。いわゆる消毒用のアルコールでは効果がないと言われています。
(3) スプレーした後は、包み込むように静かに汚物を取り除く。
(4) 取り除いた後は、さらに床をもう一度浸すようにスプレーし、ふき取る。ふき取ったら、さらに水拭きをしてください。
(5) 使ったエプロン、マスク、手袋ともにビニール袋に密閉して廃棄する。
おう吐や下痢の時には、どんなものを食べさせたらいい?
おう吐や下痢が続くと、体の水分が急激に少なくなってしまいます。経口補水液などを少しずつ与えて、脱水症状に気をつけるようにしましょう。体調が回復してきても無理はさせず、消化のよいメニューから徐々に食べるようにすることが大切です。
水分補給も様子を見て少しずつ
おう吐が激しいときは、食べ物はもちろん飲み物も受け付けません。少しおさまるのをまってから、徐々に水分を補給しましょう。何度も吐いたときはのども弱っているので、大さじ1〜2杯程度の水分(のどへの刺激が少ないもの)をスプーンで飲ませましょう。様子を見て、それ以上吐かない場合には30分ごとに、徐々に量を増やしながら水分を与えます。
水酸味のある物は避け、まずは「おもゆ」から
吐き気があるときは、ヨーグルトやかんきつ類などの酸味のあるものは吐き気を誘うことがあるので、食べさせないようにしましょう。固形の食べ物を与える前に、まず「おもゆ」で様子をみます。「おもゆ」はおかゆの上澄みです。その後、食欲に合わせて徐々に消化のよいメニューから始めましょう。 (専門家:内野美恵さん)
▼おう吐や下痢のときの食事レシピについては、こちらの記事をご覧ください。
▼詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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