「食物アレルギー」の予防・治療の最新の研究について詳しくご紹介します。
食物アレルギーという言葉が使われるようになったのは1970年ごろ。
特定の物を食べるとおう吐や下痢を起こす症例が世界中から報告されました。
食べなければ症状は出ないので、長い間「除去」という対処をしてきたのですが、食物アレルギーの患者は減ることなく増えてしまったのです。
2008年。ピーナツを乳幼児期から食べていたイスラエルの子と、アレルギーを心配して食べさせていなかったイギリスの子を比較すると、イギリスの子の方がピーナツ・アレルギーの発症頻度が高いという研究結果が発表されました。
さらに2015年。乳児期からピーナツを食べた子どもは、まったく食べなかった子どもに比べて、5歳でのピーナツ・アレルギーの発症率が非常に少ないという研究結果も発表され、食べなければ予防になるという考えが完全に間違いであることが証明されたのです。
そこで、大矢幸弘さん(国立成育医療研究センター アレルギー科医長)が率いる国立成育医療研究センターでは「離乳早期にアレルギーを起こしやすい食品を食べさせると食物アレルギーを予防できる」という仮説を立てて研究を行いました。
生後4~5か月までにアトピー性皮膚炎を発症した乳児を対象に、生後6か月から1歳まで介入を実施。早期から卵を摂取した方が、食物アレルギーの発症率は8割予防できる結果となり仮説は実証されたのです。
このような国内外の研究結果から、食物アレルギーの予防・治療の方針が「除去」から「食べる」方向に180度転換することになったのです。
ただし、すでに食物アレルギーと診断されているお子さんに、自己判断で食べさせるのは大変危険です。主治医と相談しながら治療を進めてください。
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