やけど・窒息の手当て
いざというとき慌てないためにも知っておきたい、子どもの応急手当て。今回はやけど・窒息の手当てです。小児看護の専門家、日沼千尋さんと、救急のスペシャリスト、白石裕子さんにうかがいます。
講師:日沼千尋(東京女子医科大学 看護学部教授) 白石裕子(東京工科大学 医療保健学部看護学科 准教授) 子どもの急な病気や思わぬケガ…。とっさの場面にもできるだけ冷静に対処できるように、家庭での応急手当てについて専門家に教えていただきます。
やけどの手当て
子どもの肌は弱く、軽いやけどでも注意が必要です。子どもの手のひらの大きさ以上のやけどは必ず病院へ行きましょう。また手や顔、股間などのデリケートな部分のやけどは、広さに関わらず受診してください。
-やけどを冷却シートで冷やすのは×
冷却シートでは皮膚の奥まで冷やすことができません。また、シートを剥がすときに皮膚を痛めるおそれがあります。軽いやけどだからといってすぐに薬を塗るのもダメ。擦り込むときに皮膚を痛め、むしろ雑菌をつけるおそれがあります。
正しいやけどの対処法
やけどは、まず流水で冷やすのが原則です。ボウルなどに水を流しながら、やけどした部分をそのボウルに浸し、5分〜15分程度、肌がひんやりするくらいまで冷やします。このとき、水道の水を直接やけどの患部に当てると皮膚を痛めることがあるのでやめましょう。
また流水で冷やせない場合や、病院に行くときなどは、氷水を入れたポリ袋を清潔なガーゼなどでくるんだ簡単氷のうを使って冷やします。
-服の上からやけどをした場合
服を着せたまま冷たいシャワーで冷やします。上着が厚くて十分に冷やせないときは上着だけをハサミで切ってもいいでしょう。ただし子どもが動いて危険なときは無理をしないこと。そのあと、子どもは体が冷えやすいのでバスタオルなどでくるみ、やけどの部分だけ氷のうなどで冷やしながら病院へ行きましょう。
窒息をしたときの応急手当て
声が出ず苦しそうに咳き込む、顔色がみるみる青くなる、のどを押さえて苦しそうにする、といった症状が出たら窒息のサイン。のどに詰まったものをすぐに吐き出させる必要があります。
-赤ちゃんの場合
赤ちゃんをうつぶせにして、肩甲骨の間を、強くすばやく叩きます。手のひらのつけねを思い切り叩きつけるように、迷わず強く叩きましょう。
-1歳以上の子どもの場合
子どもの後ろから両手を前に回し、片方の手でにぎりこぶしを作り、もう片方の手でそのこぶしをつかんで、胃の辺りを強く突き上げて吐き出させます。
窒息・誤飲の予防
誤飲や窒息は、予防がなによりも大切。トイレットペーパーの芯の中を通るサイズのものは、すべて赤ちゃんの口に入ってしまいます。特に豆やピーナツは、子どもが小学生になるまでは要注意。窒息しなくても、肺や鼻の奥に入ってしまうと深刻な炎症を引き起こし、とても危険です。調味料の中ぶたも、軽くて気管に詰まりやすいので危険です。開けたらすぐに捨てるようにしましょう。
-子どもが危険なものを飲み込もうとしていたら?
危ないことをしそうなときに親が慌てて大声を出すと、かえって子どもがびっくりして事故につながることもあります。落ち着いて、そっと声をかけながら近づき、危ないものから遠ざけるようにしましょう。
やけどはまずしっかりと冷やし、自己判断せずに早めに病院へ。誤飲や窒息は、気を付けていても思わぬものが原因になります。危険なものを子どもの手が届くところに置かないよう、日頃から家族で心がけ、応急処置をしっかりと覚えましょう。
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