言葉が通じない子どもへのしつけ、どうすればいいの?

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2020/05/30

出典:すくすく子育て[放送日]2020/05/30[再放送]2020/06/06

うちの子はまだ0歳です。かみついてきたときに「かんだらダメだよ」と口頭では注意しているのですが、理解していないと思います。厳しくしたほうがいいのかなとも思うのですが、まだ言葉を理解していない場合、どのようなしつけや対応をしていけばいいのでしょうか。
(11か月 男の子のパパ)

かんだその子に共感すると、他者に対する共感も育ちます。

回答:汐見稔幸さん

0、1、2歳は、叱られてもその意味がまだよく分かりません。
例えば、保育園で1歳児がほかの子どもにかみついたとします。その子に「ダメだよ。◯◯ちゃん痛いんだよ」と叱っても、その後も何回もかみつくんです。言葉がまだ十分にできないから、かみつくという形でしか表現できない子がたくさんいますから、そういうときは、かみついた子にも共感してあげます。
「◯◯ちゃん、本当は、これ取られたくなかったんだよね。これ大好きだもんね。わかるよ」
「でも、△△ちゃん、大きな声で泣いちゃったから困ったよね」
このような対応をしてあげると、その子の脳に、共感された喜びの回路ができていきます。すると、その回路をほかの人に対して使い始めるようになります。
そういう形で続けていくと、少しずつ理屈が分かるようになり、他人のことを考える力が身についていくに従い、自分が共感された回路を他者に対する共感として使えるようになっていきます。やがて、お友だちをかもうとしても、「あ、かんだら痛いかな」ということを考えることができるようになって、だんだんかまなくなっていくのです。
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価値観の多様化が進む今、お互いに確認しあうことが必要になってきています。

回答:汐見稔幸さん

そういうことが問題になってきたのは、この2、30年だと思います。そして、これからさらに問題になっていくと思います。
例えば、東京都のようにいろいろな国の方が住んでいる地域があります。そういうところでは、文化・習慣の違う人たちが入り混じって生活していますので、トラブルが大きくなるのを防いだり、調和して暮らしていくためには、いろいろなことについて説明しなければなりません。
「日本ではこうするのですが、このやり方でいいですか?」など、そういう言い方をしながらお互いの文化を確認し合うことが必要になります。そういうことが当たり前のように必要となる時代になりました。同じ国で生まれ育っていても、価値観が多様化していますから、同じようにお互いに確認し合うことが必要な時代になってきているのではないかと思います。

多様な価値観の中でも、家庭や親子の間では一貫性のある基準や軸が必要です。

回答:福丸由佳さん
そのような多様性もあり、さらにいろいろな基準がある中で、その親子の間ではある程度の基準が必要だとも思います。コロコロ変わってしまうと子どもは混乱しますので、家庭の中で、ある程度一貫性を持つことです。親自身の軸のようなものもありつつ、外の多様な価値観の中で子育てをしていく時代なんだと思います。子どもの行動をしつけたり、社会のルールを教えてあげるときには、親の気分や親の要求を満たすためではないということを忘れないようにしたいですね。

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