子どもが歩きはじめて、興味があるものすべてに手を伸ばすので目が離せません。引き出しの中を探ったり台所の扉を開いたり、日々行動範囲が広がるのに家の中の安全対策が追いつかず、子どもを注意して叱ることが増えていきました。
叱るときは、子どももひとりの人間として関わってあげようと思うので、目を見て、ダメな理由を説明するように心がけています。ですが、困った行動が収まることはなく、だんだんと声の調子が強くなってしまいます。油で遊ぼうとしたり、空き缶を触ったりすると「危ないからやめて!」と言いながら取り上げることもあります。
叱ってもやめないのは、伝わっていないからではないかと悩んでいます。こんな叱り方でいいのでしょうか?
(1歳1か月の女の子をもつママより)
発達段階によって、叱られる内容の理解が変わる
回答:遠藤利彦さん 理由を説明する叱り方は、よい心構えではないかと思います。目を見て、しっかり話しかけることで「本気で関わっているよ」というメッセージにもなります。小さいころは、まだ意味がわからないかもしれませんが、叱るときは必ず理由を伝えるようにしておくと、ゆくゆくは「世の中には、やっていいこと、悪いことがあって、そこには理由があるんだ」と理解するようになると思います。 叱られた内容をどれぐらい理解できるかは、子どもの発達段階によります。まず、0~1歳前後のころは、言葉の発達が未熟で、親の態度や表情から「これはやってはいけない」ということだけを理解します。1~2歳ごろには、言葉の理解が進み、何について叱られているのかを少しずつ理解しはじめます。そして、3~4歳ごろになると、個人差は大きいものの、叱られる理由だけでなく、叱っている親の気持ちも理解しはじめます。
1歳前後だと言葉の発達が未熟ということですが、危険なことをやめさせたい場合は、どう言うのがいいですか?
感情を込めて叱る
回答:遠藤利彦さん 危ないときには、叱ろうと考える前に声が出てしまいますよね。例えば、子どもが油を口に入れようとしたら、とっさに「絶対ダメ!飲んじゃダメ!」と声を出すと思います。でも、そのように感情を込めることで、本気度が伝わります。感情が乗った“叱り”は、子どもにとって大きなインパクトがあり、1度だけの経験だったとしても「ダメなんだ」としっかり伝わります。ですので、本当にダメなものについては、きちんと感情を添えて叱るようにするのがよいのではないかと思います。
危険から守るための工夫を
回答:柴田愛子さん 探求心旺盛で活発なお子さんだと思います。引き出しの中から不思議なものが出てきたり、台所の扉を開けると宝物が入っていたり、いろいろなことを発見したのではないでしょうか。 シンプルに「ダメ」と叱るのもひとつの方法ですが、「危ない」と叱っても、まだどうして危ないのかわからない時期は、子どもを危険から守るための工夫をするという方法もあります。例えば扉のストッパーなどがありますね。危険を伴うものに関しては、ダメと言い続けても言うことを聞いてくれないので、大人がどう危険を回避してあげるのかを考えてみましょう。 そのほか、台所はダメだけど衣類入れは触っていいなど、ダメじゃないところを用意してあげるのもひとつの方法だと思います。
すくすくポイント
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