子どもを預けてみよう(4)ママ友との預け合い
講師:汐見 稔幸(白梅学園大学学長 教育学) 子育て中はいつも子どもと一緒。だけど、時々は子どもを預けることができたなら、助かりますよね。必要なときは、ママ・パパ、そして子どもも安心なところに子どもを預けてみましょう。 人類の歴史の中で、親が一人で子どもを育てる社会はこれまでありませんでした。親以外の人と接することで、子どもの社会性は育ちます。そのため、預けることで罪悪感を持ったり、子どもに悪いことをしていると思い込む必要はありません。子どもを預けると、親にも子どもにも良いことがたくさんありますよ。
孤立して子育てをしないために、ママ友をたくさん作っておくことはとても大事です。
“預け合う”“預かり合う”ということは、子どもにとって、家庭のせまい関係の中だけでは得られない体験をするチャンスでもあり、それによって子どもは成長します。
ママたちの預け合い事情
実際にママたちは預け合いをしているか、街頭インタビューをしました。
ママ友との預け合いで、多くの人が気にしていたのは「迷惑をかけてしまうのでは?」ということです。
<預け合いをしたことが“ある”人の声>
「歯医者に行かなきゃいけないときに、2時間ぐらい預けました。“お互いさま”という形で、頻繁ではないです。」
<預け合いをしたことが“ない”人の声>
「迷惑をかけるのが心配なので、ありません。」
「ママ友との関係もあるので気を使います。子どもが迷惑かけたらどうしよう、お互い相手の子を叱りたくても叱れなかったら、など心配です。」
ママ友との預け合いのコツ
ママ友とのよくあるトラブルを元に、預け合いのコツを紹介します。
<ケース1>
預かっている子が遊んでいるうちに、ちょっとケガをしてしまった。すると相手のママに怒られ、気まずい関係に。
▼ケース1の預け合いのコツ
小さなケガは仕方ないけれど、大きなケガはしない環境作りをするのが子育てです。しかし、子どもは活発であればあるほど小さなケガはしてしまいます。
預かった子がケガをしてしまった場合、「今度から気をつけるから、本当にごめんなさい。」と、きちんと謝りましょう。また、ママ友には率直に、ケガをしたときの状況を伝えましょう。そのうえで、「いいわよ、そのくらい。うちでもしょっちゅうやってるから」と言ってくれるのではなく、「許せない!」と言う人とはあまり付き合わないほうがいいかもしれません。お互い「ちょっとしたケガはつきものだからね」ぐらいのおおらかさを持てる関係が必要です。
<ケース2>
預けている間に、熱が出たからと勝手に薬を飲ませていた。これっていいの?
▼ケース2の預け合いのコツ
預かっているうちに熱が出たからといって勝手に薬を飲ませることは、一番やってはいけないことです。必ず電話やメールで相手のママに連絡をし、どう対応すべきか判断をあおぎましょう。こういうケースでは、丁寧に対応することが大切です。
ママ友との預け合いのポイント
ママ友とトラブルにならないためには、親子で一緒にたくさん過ごすことが大切です。
例えば、「うちでは、こういうときはあまり叱らないので、それでもいい?」と相手のママ友に確認したとします。そのときに、相手のママ友はそのことを許可しつつ「私はいつも厳しく叱っているから、今日はそうじゃなくてこの子にとっても良かったわ。」と言う風に思ってくれる。そんな関係性が大事です。
預け合いは、普段から相手の親子と一緒にいる場面をたくさん作っておくことが前提です。そのうえで、どんどん預け合いをしてみてください。
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