講師:汐見 稔幸(白梅学園大学学長 教育学) 子育て中はいつも子どもと一緒。だけど、時々は子どもを預けることができたなら、助かりますよね。必要なときは、ママ・パパ、そして子どもも安心なところに子どもを預けてみましょう。 人類の歴史の中で、親が一人で子どもを育てる社会はこれまでありませんでした。親以外の人と接することで、子どもの社会性は育ちます。そのため、預けることで罪悪感を持ったり、子どもに悪いことをしていると思い込む必要はありません。子どもを預けると、親にも子どもにも良いことがたくさんありますよ。
近くにいて日ごろから助けてくれたり、遠くてもいざというときに駆けつけてくれる祖父母は、ありがたい存在です。
預かってもらうことを一番手軽にお願いできるかと思いますので、上手に祖父母に頼りたいですよね。しかし実は、祖父母に預けたときのトラブルは意外と多いのです。
祖父母預けトラブルの例
(1)子どもかわいさのあまり、甘いおやつをあげたい放題で困る。
(2)子どもの急な発熱などで、出かけ先で電話が鳴りっぱなしで困った。
(3)預けている間に子どもがケガをした。
<トラブルの要因>
祖父母には2人だけの生活リズムがあります。そこにまったくリズムの違う孫が来るわけです。最初は面倒をみることができますが、「外に行こうか?」と言っても「行かない!」、「食べなさい」と言っても「これは食べない!」などうまくいかないことが続くと、徐々に子どもをどう扱っていいのか分からなくなり、祖父母も疲れてしまいます。
祖父母預けのポイント
(1)丁寧な情報交換を
子どもの生活リズム、好きなおもちゃやおやつなど、普段の様子を話して情報を共有しましょう。
「こういうときには、あの子はこういう風になります。なので、このように対応してもらえますか。」などのように、子どもへの対応方法を丁寧に伝えることが大切です。
緊密な情報交換をすることで、ママ・パパも祖父母も、お互いに信頼度がアップします。
(2)短時間から少しずつ練習
始めから1日預けることをお願いすると、祖父母はとっても大変です。祖父母への配慮として、「いきなり長時間預けられたら困るだろう」くらいの気持ちは持ちましょう。
「今日はちょっと買い物に行く間の2時間だけお願い」など、まずは短時間から練習することがオススメです。すると、2時間は大丈夫だと分かり、じゃあ次は3時間にしてみようなど、段階を踏むことができます。
(3)「当たり前」と思わず、感謝の気持ちをきちんと伝える
「祖父母なんだから、預かってくれるのは当たり前」という態度はとらないでください。「本当に助かった」ということを、きちんとお礼を言って伝えましょう。
私も祖父として、孫が来るとうれしいですが、やはり一定時間過ぎると疲れてしまい「早く帰ってくれないかな」と思うこともあります。そのようなときに、「今日はありがとう。助かったわ」という一言があると、「また面倒をみてあげようかな」という気持ちになりますよ。 (汐見 稔幸さん)
祖父母にも、気持ちよく預かってもらえるといいですね。
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