発達心理が専門で、子育て支援活動を通して現代の親子関係を見つめている、坂上 裕子さん(青山学院大学 教育人間科学部 准教授)のイヤイヤ期の対応法を紹介します。
これは、約8年前、坂上先生の息子さん(2歳ごろ)が、絵合わせカードに夢中になり、保育園に行きたがらなかったときの対応法です。
「もう1回!」と絵合わせカードに夢中な息子さん。
そこで、坂上先生が、
「そろそろ保育園に行かなきやいけない時間なんですけど~…?」と優しく声をかけると、
「ヤダ!ヤダよ!」「もっとやりたいよ!」と、ぐずりだしてしまいました…。
そのとき、坂上先生は息子さんにこのように声をかけました。
「もっとやりたいよね。ママもね、できればやらせてあげたいんだけど…ごめんね」
「そろそろ時間がないんだなぁ~」
そのように声をかけられた息子さんは、本格的に泣き出しそうに…。
すると、坂上先生は、
「ねぇ悲しいねぇ、もっとやりたかったもんねぇ」
「じゃ、この絵でどれが一番好きだった? この中ではどれが一番好きなの?」
と話題を変更。
すると、
「これ!」と好きな絵を泣きながら答えたのです。
「あ!パトカーが好きなの! じゃ、パトカーの次に好きなのはどれ?」
と、引き続き、息子さんに質問を続ける坂上先生。
質問をしながら、カードを片付けはじめます。
「じゃ、今一番乗りたいのはどれ?」と、質問を続けていると…
「(カードを)しまって!」
なんと、自分から片づけてと言ったのです。
これを聞いた坂上先生が、
「あ!おりこうだね~じゃ今度新幹線に乗りに行こうね」と声をかけると、
「新幹線!」とうれしそうに言う息子さん。
「ね!今度新幹線乗ろうね!」と返すと、息子さんの方から先生にかけよりギュッと抱きついていきました。
抱きついてきた息子さんを抱きしめながら、
「よしよし、悲しかったね」「でも、えらかったよー」と背中をポンポン。
息子さんのイヤイヤがすっきり収まりました。
★イヤイヤ期の対応のポイント
・共感して子どもの気持ちを言葉にしてあげること
・子どもに選ばせることで、気持ちの切り替えをしてあげること
坂上先生からの一言
いつもこのような対応をしているわけではありません。
5回に1回くらい成功するといいなと思ってもらえると幸いです。
保育園に行く前のイヤイヤは、毎朝繰り返されていたので、ある程度予測が立つということもあり、これはうまくいった例です。
大豆生田 啓友(玉川大学大学院教授 乳幼児教育学)先生からの一言
私も自分の子どものイヤイヤ期はうまくいかないことが多かったです。
イヤイヤ期は、必ずしも、「このようにやればうまくいく!」というわけではありません。しかし、うまくいかなかったからといって、自分のやり方が悪かったんだと思わないようにしてください。
いろんな手をうって、子どもの気持ちを探りながらやっていくのが、うまくいくポイントなのだと思います。
イヤイヤの対応としての“共感”はどこまでしてあげればいいの?
これも知りたい!
PR