おう吐・下痢
子どもは、元気に遊んでいたと思ったら、突然吐いたり、トイレが間に合わないほどの下痢になったりすることがあります。
また、嘔吐が続いていたと思ったら、今度は下痢も始まったということもよくあります。
これらのおう吐や下痢の多くは、体の中の病原体を体の外に追い出そうとする体の防御反応です。
講師: 林 幸子(国立成育医療研究センター 救急センター副看護師長) 子どもの突然の発熱、セキ、おう吐、ケガなど、子育てにはハプニングがつきものです。 そのようなときにあわてないため、まずは普段から子どもの様子を観察しておくことが大切です。 病気やケガのときでも、子どもが安心して過ごせるよう、ホームケアを知っておきましょう。
おう吐・下痢の基本的な対応
おう吐の際は、吐いた物の色に注意しましょう。
血が混ざっている、もしくは、緑色のときは、すぐに病院へ行きましょう。
<おう吐・下痢の処理>
おう吐や下痢の場合は、家族にうつらないよう、吐いたものや排せつ物を処理することがとても大事です。
▼処理をする際に用意するもの
以下の(1)~(6)を使用し、吐いたものや排せつ物に絶対に触れないよう注意してください。
(1)エプロン
(2)使い捨てのマスク
(3)使い捨ての手袋
(4)キッチンペーパーなどの捨ててもよいもの
(5)塩素系漂白剤を薄めたもの
(注意)おう吐・下痢の病原菌はアルコールでは除菌できません
(6)ビニール袋
▼処理の手順
(1)キッチンペーパーなどの捨ててもよいもので、吐いたものや排せつ物を覆います。
(2)覆った上から、塩素系漂白剤を薄めたものをスプレーし、包み込むように拭き取ります。
(3)床にもう一度、塩素系漂白剤を薄めたものをスプレーし、しっかり除菌を行います。
(4)使った手袋、マスクを外し、ビニール袋にいれて密封しましょう。そして、そのまま捨ててください。
(5)処理後は、よく手を洗い、エプロンは塩素系漂白剤で洗いましょう。
水分補給や食事のポイント
<水分補給>
おう吐や下痢は、水分だけでなく体に必要なものも外に出てしまいます。そのため、子どもにあたえる水分は、塩分や糖分を補充できる経口補水液や子ども用イオン飲料がおすすめです。
▼経口補水液の作り方
経口補水液は家にあるもので簡単に作ることができます。以下の材料を混ぜるだけです。
・水 1L
・塩 3g
・砂糖 40g
・レモンやグレープフルーツなどの果汁 少々
▼水分補給のタイミング・量
繰り返し吐くのがおさまって、30分以上経ってから、徐々に水分補給を始めます。
まずは、スプーンで1~2杯程度あたえましょう。これを、3~5分ごとに繰り返してください。
水分をあたえてもすぐに吐いてしまう場合は、1時間ほど様子を見てから、少しずつあたえてみましょう。
子どもが欲しがるからといって、欲しがるだけあたえるのではなく、ママたちが水分の量やタイミングをコントロールしてあげることが大切です。
おう吐や下痢をした当日は、唇の渇き、おしっこの回数や量を確認しながら、ゆっくり過ごしましょう。
<食事>
食事は、便の硬さを目安にして、あたえてください。
・下痢で水のような便:水分
・やわらかい便:おかゆ程度
・硬い便になってきたとき:形のあるもの
緊急を要する場合
脱水がひどい、熱がある、ぐったりしているなどのように、子どもが元気をなくしていくようであれば、病院に相談してください。
<もしものときの電話番号>
以下のような場所の電話番号を、家の目のつくところに貼っておきましょう。
イザというときにあわてずに済みます。
・小児救急電話相談 ♯8000(全国共通)
・かかりつけの小児科
・夜間や休日診療が可能な近くの総合病院
子どものケガや病気に備えて、ちょっと覚えておくと安心です。
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