セキ・呼吸が苦しい
セキは、空気の通り道である気道にタンや異物を感じたときに、それを取り除こうとする体の反応です。
実は、セキは子どもが病院を訪れる理由の上位です。
子どものセキは病院に行っても、すぐにはよくならないものです。
少しでも楽な状態で、子どもが家で過ごせるようにしてあげることが大切です。
講師: 林 幸子(国立成育医療研究センター 救急センター副看護師長) 子どもの突然の発熱、セキ、おう吐、ケガなど、子育てにはハプニングがつきものです。 そのようなときにあわてないため、まずは普段から子どもの様子を観察しておくことが大切です。 病気やケガのときでも、子どもが安心して過ごせるよう、ホームケアを知っておきましょう。
セキ・呼吸が苦しいときの基本的な対応
<セキが出る場合>
セキは、「いつ」「どのような状態で」「どのようなセキが出るのか」といった子どもの症状を観察することが大切です。
観察した症状が以下のような場合は、迷わず病院へ行きましょう。
・呼吸の音が、ヒューヒュー、または、ぜーぜーしている場合
・ケンケンと変な音がするセキの場合
・息が苦しそうな場合
・顔色が悪い場合
▼病院へ行く際のワンポイント
余裕があれば、セキの音や様子をスマホなどのようなもので撮影しておくと、病院で症状が伝えやすくなります。また、診察のときにはセキがでていない場合に、医師の診断に役立ちます。
<急にせきこみ始めた場合>
子どもが元気にしていたのに、急にせきこみ始めた場合などは、異物を飲み込んでいないか疑う必要があります。
特に、ボタン電池などのようなものが疑われると思ったら、子どもに無理に吐き出させようとせず、迷わず病院に行きましょう。
寝る姿勢のポイント
寝るときの姿勢は、セキや息苦しさがある子どものケアの、大事なポイントの1つです。
寝る姿勢は、基本的には子どもが楽な姿勢でよいです。
子どもの呼吸が楽な姿勢としては、仰向けで寝るより、座ったり、抱っこされたりしているほうが、呼吸しやすくなります。
呼吸が楽になるように、子どもの姿勢を調節してあげましょう。
<寝る姿勢の調節の仕方>
背中にクッションなどを置いて、上半身を少し高くし、アゴが上がるようにしてください。
このようにすると、気道が開き、呼吸が楽になります。
部屋の環境づくりのポイント
部屋の環境づくりは、セキや息苦しさがある子どものケアの、大事なポイントの1つです。
セキは、冷たい空気や乾燥、ハウスダストなどでも強く出るようになります。
部屋を暖かくして、加湿器を使ったり、部屋に洗濯物を干したりして、乾燥を防ぎましょう。部屋に適度の湿度があれば、ホコリも抑えられます。
また、子どもが嫌がらなければ、マスクをすると、のどの保湿になります。
水分補給や食事のポイント
子どもは、せきこんで吐いたり、吐いたものを気管に吸い込んだりしてしまうことがあります。セキが止まったタイミングを見計らって、水分や食事を少しずつあたえましょう。
<水分補給>
水分は、一口ずつスプーンで口の中へ入れてあげ、ごくごく飲ませないように気をつけましょう。「とろみ」をつけるなどのようにすると、誤嚥(ごえん)を避けることができます。
緊急を要する場合
以下のような症状が見られる場合は、緊急事態です。救急車を呼びましょう。
・呼吸が苦しくなり、息が吸えない場合
・顔色が悪い場合
・何かがのどに詰まって、声が出ない場合
<もしものときの電話番号>
以下のような場所の電話番号を、家の目のつくところに貼っておきましょう。
イザというときにあわてずに済みます。
・小児救急電話相談 ♯8000(全国共通)
・かかりつけの小児科
・夜間や休日診療が可能な近くの総合病院
子どものケガや病気に備えて、ちょっと覚えておくと安心です。
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- 知っておきたいホームケア(2)セキ・呼吸が苦しい
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