経験者の知恵に学ぶ
心に傷をうけた子どもにはどんなケアが必要なのでしょう。今回は、震災を経験した方々の知恵に学びます。
講師:倉石哲也(武庫川女子大学 心理・社会福祉学科教授) 大きな災害や事故などでショックを受けた子どもたちに親はどう向き合えばいいのか、心のケアと対応の仕方を紹介します。また過去に大きな地震を経験したママたちの体験談からも心構えを学びます。
体験談:被災後の子どもの変化
【被災地の映像がストレスとなりPTSDに】
子ども(当時7歳)が地震直後から落ち着きがなくなり、じっとしていられなくなって一時は学校の授業も受けられない状態に。地震のストレスによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、原因のひとつはテレビで見た被災地の映像とわかる。その後、必要な情報はラジオで得るようにして、徐々に症状がおさまった。
専門家の意見:子どもの情報との付き合い方を見直す
地震などの災害が起きるとさまざまな情報が流れますが、子どもはそれらに対して心の準備ができていません。子どもに状況を理解させるためにニュースなどを見せたい場合には、まず親がことばで説明し、それを見たいかどうか子ども自身の意思を確認しましょう。
体験談:子どもの不安解消に効果的だったこと
【スキンシップ】
・丸2日間、娘をおんぶして過ごした。
・ことば掛けよりもお母さんの手が自分に触れていることで子どもが安心した。
・当時3か月の娘をスリングに入れて常に抱えていた。【一緒に寝る】
・地震後、今でも3人の子どもと一緒に寝ている。【一緒に食卓を囲む】
・安心して「いただきます」を言えることが大切。
・食卓を囲んで同じものを食べる時間と空間を作ってあげることで安心する。
専門家の意見:「日常を取り戻す」ことが大切
子どもの心の回復には、日常生活を取り戻すことが何よりも大切です。睡眠、食事、活動など、それぞれできるだけ決まった時間に。そして家族が一緒に過ごす時間もしっかり作り、子どもがほっとできる場を整えてあげましょう。
災害のような非日常のときこそ、可能な限り「日常」を意識して、子どもの気持ちを落ち着かせてあげたいですね。
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